プリプレグとは

ここでは、炭素繊維のメジャーな用途である、プリプレグについて記載します。

プリプレグ=繊維に樹脂が含侵されたシート

プリプレグは、予め樹脂が含侵されたシートであり、長繊維の場合、繊維の形態は主に織物か、一方向です。熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂どちらのプリプレグも存在しますが、製造方法は異なります。具体的にどう違うのか、こちらにまとめました。

プリプレグの比較:熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂
同じプリプレグでも、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂のプリプレグは全く異なります。その特性について説明します。

Hexcel社のホームページに素晴らしい解説書がありますので、こちらにハイパーリンクをつけておきます。

プリプレグの優れたところ

プリプレグは炭素繊維の性能をフルに生かすことのできる偉大な発明です。

  • 繊維が一方向の場合は、繊維が精度よく引きそろっており、繊維含有率を高くすることができる。
  • 樹脂が予め含侵されており、後から含侵する成形方法よりもボイドが少ない成形品ができる。
  • 角度を変えて積層することで、多方向に強度、剛性を持たせることができる。

プリプレグは積層して使用する

プリプレグは積層して使用します。特に一方向のプリプレグの場合、繊維直角方向には割れやすいので、角度を変えて積層します。図はいわゆる疑似等方積層を示します。±45°の層と、0°、90°の層が交互に、対称に積層されている必要があります。下の図の積層構成は[+45/0/-45/90]sなどと、対称(Symmetry)のSを使って書いたりします。ここでは8層で、+45°が外側、90°が内側の構成となっておりますが、-45°が外側、0°が内側でも同じです。

厚めの疑似等方積層を作りたい場合は、[+45/0/-45/90/+45/0/-45/90]sのように、外側に層を追加します。長くなるので、一般化して[+45/0/-45/90]nsと自然数nを使って積層構成を表します。

積層後は、賦形してからオートクレーブ、プレス成型、などによって形状を作製、加熱し、製品へと仕上げます。

プリプレグの重要パラメータ

プリプレグを使う際は、以下の項目を確認してください。

樹脂量・・・樹脂の量です。体積率、重量率のどちらかで示されます。

繊維目付・・・単位体積当たりの繊維の重さ。大きいほど厚いプリプレグになります。

プリプレグ目付・・・単位体積あたりのプリプレグの重さ。

厚さ・・・プリプレグの厚みは繊維目付と樹脂量、密度によって計算できます。硬化後の厚みを指します。よく使うので、計算ツールを作りました。

厚み、繊維含有率計算
プリプレグの厚み、繊維含有率を計算するツールを提供します。

プリプレグの用途

冒頭に述べたように、プリプレグは炭素繊維のメジャーな用途です。シート状のものであり、シートとして使う、あるいは丸めて筒状に使うことが多いです。

例えば、飛行機の胴体、構造部材などは、プリプレグのシートをうまく形状に沿わせて成形されます。

ゴルフシャフト、釣り竿などは、プリプレグを丸めて筒状にします。

今後は、家電、自動車などにも活用が進むと考えます。そのためには、今以上に速硬化性、欠陥なく形状を成形できる成形技術、仕上げのための加工技術などの改善が必要となるでしょう。

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