個人的な意見です。新型コロナウイルスの影響は未知数なので、この騒動が決着したら元の世界に戻る前提です。
- ドローン
- 圧力容器
- 3Dプリント
について記載します。
ドローン
オンライン通販で買ったものがドローンで届く日は近いと思います。空を飛ばそうと思ったら、軽さはとても大事です。重い鉄の塊を飛ばそうと思えば、その分エネルギーが必要です。ドローンの骨格などには、プリプレグのような繊維含有率の高いCRFPは有効に活用できると考えます。
まずはドローン同士が衝突せず、風に流されたりせず、目的地に到着できるような飛行技術、AI開発や法的な整備が不可欠でしょう。
複合材料の技術としては、複雑形状への精度よく、ハイサイクルで製造できる技術が重要となります。接着、接合なども必要でしょう。
圧力容器
水素社会は来ると思います。世界情勢でいえば、つい最近、世界屈指の圧力容器メーカーであるHexagon Compositesが中国のエネルギー関係会社と合同事業を行うことが発表されました。
圧力容器の製造方法は、ウェットワインディング(タンク形状に巻く直前に樹脂を含侵させる)と、トウプレグ(樹脂が含侵した細いプリプレグ)を用いた方法があり、どちらの方法がメインになっていくかはわかりません。
個人的な見解では、トウプレグの方が、糸幅を安定させやすく、精度のよいタンクができるのではないかと考えています。樹脂も予め含侵してあるので、硬化剤との調合ムラがない、作業環境が汚れない、などのメリットもあります。
FRP製圧力容器自体は長い歴史がありますが、今後水素タンクが搭載された家庭用自動車がいよいよ身近なものになる日が来るのではないかと期待しています。
3Dプリント
最近の3Dプリントの技術開発は目覚ましいものがあります。ここでは、連続繊維に熱可塑性樹脂を含侵させたフィラメントを用いた3Dプリントをイメージしています。メリットは金型を用いずに、部材を製造できることです。
部材としては、欧米では航空機の羽の構造部材や、ヘッド部分、ブラケットなど、自転車などのスポーツ用途の部品などが検討されています。
必要な技術は、
- 繊維含有率、ボイド等のない良品質な樹脂含侵フィラメントを製造する技術。
- 加熱して柔らかくなったフィラメントを、ロボットアームで精度よく並べていく技術。
- 配置されたフィラメントを再度加熱しなくても済むように、その場でConsolidateさせる技術。
- 繊維方向の力学特性を発揮しやすいように部材をデザインする技術。
- 表面の凹凸を減らす方法。
- 製造スピードアップ
などが考えられます。今の技術では、プリプレグ同等の力学特性を持たせることはまだ厳しいですが、繊維含有率も上がってきており、構造部材として使えるレベルにもなってきている印象があります。また、見た目のなんとなくオシャレで、スポーツ用途でも活用が拡大するのではないかと思います。
最後に
新型コロナウイルスの影響は本当に未知数です。人の移動が少なくなると、CFRPだけでなく、多くのメーカーが技術開発の方向を変えざるを得なくなるかもしれません。これまで育てられてきた技術が無駄にならないよう、元の世界にもどり、CFRPも活用されていくことを願っています。
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