炭素繊維束 = 数千~数十万本のフィラメントの束
炭素繊維は一本一本が細く、通常束として取り扱います。炭素繊維束、バンドル、トウなどと言います。最もメジャーなのが12000本や24000本で、1000をKとして12K、24Kと言われています。細い炭素繊維束であれば、1K、太いものでは50Kなどがあり、ラージトウと呼ばれています。
例えば12K 、24Kの炭素繊維を製造しているメーカーに13Kが欲しい、と言ってもほぼ不可能です。というのも、炭素繊維が製造できる単位が3K、4Kなどであるため、倍数でないフィラメント数はできません。
倍数である18K などであっても、通常生産していない場合、メーカーにお願いして製造してもらうことはほぼ不可能でしょう。メーカーのカタログを参考にして、存在するフィラメント数のものを注文しましょう。
サイジング剤=炭素繊維を保護する化粧
12K、24Kの形態となった炭素繊維束(以下、単に炭素繊維といいます)は、サイジング剤とい集束剤によって、束の形態を保っています。世の中には、サイジング剤のついていない無サイズ糸などというものの需要もありますが、一般にはサイジング剤を付与しているものが製造・販売されています。
サイジング剤の役割は
- 炭素繊維使用時の毛羽を防ぐ。
- 炭素繊維の摩擦係数を下げる。
- 炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性を上げる。
などがありますが、最も重要なのは一つ目です。炭素繊維フィラメントは細いので切れやすく、束として存在していないと、そもそもチューブに巻き付けてボビンとすることも困難です。
炭素繊維ボビン = 炭素繊維がチューブに巻き付けられたもの
炭素繊維は、紙やプラスチックでできた、ガムテープの菅と同程度の直径、幅30cm程度のチューブに巻き付けられたボビンの状態で製造されます。長さは、フィラメント数に依存しますが、炭素繊維のトータルの重量は2―8㎏程度です。
2㎏でだいたいCDくらいの直径、4kgでトイレットペーパーよりも大きいくらい、8㎏ともなると、誕生日ケーキくらいになります。長さに換算すると、その品種の炭素繊維の直径で変動はしますが、12Kで4㎏であれば、5000m程度のイメージです。
そして、フィルムで保護され、箱に詰められ、ユーザーの元へ配送されます。
炭素繊維の保管環境
炭素繊維は基本的には、室温で保管してもOKです。気温が0℃に近い場合は霜の影響が、30℃を超えてくると、サイジング剤が反応して劣化してしまうので、その中間の15―25℃付近で保管するのがベストです。
湿度も、同様で湿度が低すぎるとサイジング剤が乾いて糸が硬くなってしまうので、最低限の湿度は必要です。高すぎるとサイジング剤が劣化する可能性があります。湿度は50-70%くらいがベストになります。
以上は一般的な話で合って、最適な保管環境はサイジング剤のタイプで異なります。適切な保管環境はメーカーの推奨条件をよく確認してください。
ロット番号
その他あらゆる製品と同様に、炭素繊維もロット番号があります。ロット番号を確認することで、製造された工場や日付がわかります。ロット番号は、ボビンの内側にラベルが貼ってあり、そこで確認できます。
同じ炭素繊維の品種であっても、ロットによって物性の差が生じるときがあります。同じ品種の炭素繊維を使っていて、物性やプロセス挙動がおかしい場合は、たまたま悪いロットを引いてしまった可能性があります。そのような場合はメーカーに問い合わせて、品質について聞いてみましょう。
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