第4次産業革命とも言われる時代の流れで、人工知能を用いた産業が今後も増えてくると予想されます。では、CFRPはその時代の流れとどう関係していくのか、考察しました。
材料設計にAIは活用されるのか
例えば、化学物質AとBを混ぜて、さらに強い材料ができる、という組み合わせのようなものの、最適化にAIは活用できるのか、ということです。
個人的な考えでは、厳しいと思っていますが、期待はしています。材料にはまだ未知なことは多くあります、組み合わせは無数にあります。かなりチャレンジングです。
例えば、溶融粘度が低く、安価、金属並みに靭性の高い樹脂ができたら最強だと思います。それに近いものを生み出すために実験で確認するのは2,3個あるいは1個でよくて、事前スクリーニングはバーチャルで全て実施済み、というところまでAIで進められたら、ものすごいことです。
しかし、そんなことが本当に可能なのか、現時点ではなんとも言えません。コンピューターのスペックも高くなければいけません。導き出されたとしても、作り出せないかもしれません。これまで、研究者達が培ってきたものが、大外れしていたとも思いたくはありません。もう少し時代が進み、コンピュータや、AIのレベルが数段アップしたら可能かもしれないので、その時は期待したいと思います。
もしこれを読んでいる方で、AIを用いた材料設計が実現できそうな方がいらっしゃったら、是非お話を聞きたいと考えます。
構造設計、成形技術にAIは活用されるのか。
どちらかというと、構造設計や成形技術の方がAIは活躍できるのではないかと考えています。
シミュレーション技術との併用
AIとまではいかなくとも、構造設計や成形プロセス開発などで、シミュレーションの技術は日進月歩であり、多くの開発現場で取り入れられております。
シミュレーション技術と並行してAIを用いることで、自動的にCFRPの異方性が活きる最適な構造を導き出す、ということは、既に実用化しているメーカーもあります。原子レベルでの解析をする材料設計よりも、計算量としては少ないと思いますので、PCのスペックとしても射程範囲内です。
構造を最適化された製品は、なんとなく外観も良いものです。
AFPのロボットアームに活用
ロボットアームで、まるで人が正確に積層するかのように、微調整しながら複雑形状に積層する、ということを、事前プログラムなしで行う、ということもAIが発達したら可能です。まさにロボットですね。センサーの発達も不可欠です。
最新技術では、型を用いずに、ロボットアームで表裏を支えながら、AFPのように熱可塑樹脂のUDテープを空中で硬化していく、ツールレス成形の開発も進められています。初めて知ったときは、ツールがいらない時代も来ちゃうのか・・・と思いました。どこまで実用化に近いか、あるいは既に実用化されているのかもしれませんが、次世代の成形方法として注目な技術です。
3Dプリント技術へ活用
3DプリントはAFPの細かいバージョンだと思っています。AFPが航空機の胴体や羽など、大型な部材を対象とするのに対し、3Dプリントは羽の中の構造部材や、スポーツ用途など、より細かい形状を生み出すのために使われていくと思います。
上述した構造部材の最適化と似ていますが、どのようにプリントヘッドノズルを動かして、繊維を並べていくのか、ということをAIを使えば事前プログラムなしで自動で最適化してくれるのでしょう。既に実現していたらすみません。
力学物性を上げるためにボイドを極力減らす、繊維含有率を上げる、ということについては、元の材料の改善が不可欠です。
最後に
今後、成形技術にはAIが積極的に取り入れられていくと考えます。しかし、そのAIが活きるのも、元の材料あってこそです。材料の設計、材料の評価は人間が行い、どのようなインプットをコンピュータに入れるか、というところに人間の知恵が生きるのではないかと思います。
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