炭素繊維とは

炭素繊維の一般的な特徴

どこのウェブサイトや入門書でも書かれているような、一般的に知られているのは以下です。

  • 黒い
  • 細い(直径数マイクロm)
  • 軽い(密度1.7-1.9g/cm3程度)
  • 耐熱性、耐薬性、電気伝導性に優れる。
  • 高強度、高弾性率

また、炭素繊維の残念な特徴としては、高コストであることが知られています。コストは品種によって大きくことなります。一般に、弾性率が高いほど高コストです。どのくらいか、というと、オンラインショッピングなどで確認すると、1500円/kg程度のものから1万円/kgを超えるものも存在します。

炭素繊維 - Wikipedia

炭素繊維の強度と弾性率

炭素繊維の強度、弾性率は品種によって異なる。

炭素繊維はよく、鉄の1/4の重さ、10倍の強度と言われます。重さに関しては、種によってさほど差はありませんが、強度・弾性率は品種によって大きく異なります。

下図は、日本国内主要メーカーの一部品種の強度と弾性率を示したものです。鉄の強度は200MPa程度であるため、強度の高い炭素繊維は鉄の30倍以上高い強度であるといえます。

また、よく言われるのが比強度(強度を密度で割った値)です。比強度で計算すると、炭素繊維は鉄よりも100倍以上強いことになります。

ちなみに、複合材料の力学特性の単位はSI単位とUS単位があります。ややこしいので、換算ツールを作っておきました。

CFRPの弾性率、強度の単位換算
CFRPに関する単位換算をするページです。強度、弾性率の単位です。MPa, ksi, kgf/mm2を換算します。

炭素繊維の弾性率・強度の測定方法

炭素繊維の弾性率・強度は一般に、製造されるフィラメント数単位(ストランド)で、樹脂を含侵させた試験片(ストランド引張試験片)を作製し、引張試験によって強度、弾性率を測定します。

その際、樹脂は伸度の高い樹脂とし、得られた破断荷重を、繊維の断面積で割ることで強度を得ます。弾性率は、伸び計で測定します。

炭素繊維の弾性率の計算範囲

弾性率の計算範囲はメーカーや、品種、規格によって異なります。通常は伸びひずみが1%よりも小さい範囲で計算されます。

炭素繊維の弾性率は非線形

炭素繊維の弾性率は、ひずみが大きいほど高くなることがわかっています。これは、炭素繊維中の結晶配向が、荷重が与えられるにつれてそろってくるためと言われています。

この非線形性は複合材料にしたときにも表れます。精度の良い破壊シミュレーションなどを行う際は、この非線形性を考慮することが不可欠になります。

炭素繊維の強度=繊維軸方向の引張強度

さらに、炭素繊維の強度として語られるのは主には繊維軸方向の引張強度であり、繊維軸方向の圧縮強度、非繊維方向の強度については未だ未知といわれています。それらの物性は通常一方向に繊維のならんだUD材(Unidirectional)の非繊維方向の物性から逆算して推測されます。

炭素繊維の用途は複合材料

炭素繊維は通常マトリックス樹脂に含侵させて、複合材料として使います。炭素繊維そのものの強度で部材を設計することはほぼありません。複合材料を成形するための、中間基材に、プリプレグ、SMC、織物などがあります。

マトリックスが樹脂のものを炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastic : CFRP)といいます。マトリックスは必ずしも樹脂だけではなく、セラミック、金属などもあります。求められる温度環境や、硬さ、柔らかさに応じてマトリックスを変えていきます。

複合材料において、炭素繊維の強度が発揮できるのは繊維軸方向に荷重がかかる場合であり、繊維軸直角方向へは樹脂で連結されていることになるので、マトリックス樹脂の性能も非常に重要です。

製造メーカー

日本国内では、

海外のメジャーどころ、

その他、今後のシェアを狙っているのは、

各社、今後どのような戦略でシェアを確保していくか、注目どころです。

炭素繊維強化プラスチックの用途

代表的なものは、飛行機、圧力容器、スポーツ用品(ゴルフシャフト、テニスラケット、自転車)などです。調べると様々な用途があると思いますので、メーカーのサイトで調べてみましょう。

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